移りゆく季節を料理とともに~食への好奇心が生み出す笑顔と喜び~

インタビュー

Share on

インタビュイー プロフィール

インタビュイー プロフィール

季節ごはん教室niwacoya(ニワコヤ) 料理家・管理栄養士  柵山 咲子さん

地元企業に就職後、食の仕事を目指し専門学校で栄養士資格を取得。キユーピーで営業・企画職を担当したのち、東邦ガス料理教室でアシスタント・講師・運営にも携わる。2013年からは「季節ごはん教室niwacoya(ニワコヤ)」として料理教室を開催。フードコーディネーターとして料理撮影、レシピ提案や作成など、食のプロとして多方面で活躍する。

「料理教室に参加された主婦の方に、ひとときを楽しんでいただけたら。家に帰って『ちょっと料理してみようかな』と思っていただけたら。本当に嬉しいですよね。」

御在所岳からの風が心地よく肌をかすめ、ときにはシカやサルがひょっこり庭に顔を出す。菰野町にある季節ごはん教室niwacoya(ニワコヤ)。草花が咲く庭に隣接する小さなアトリエで、季節の食材を使った料理教室を開いている。

料理家・管理栄養士の柵山咲子さんには、プリンタイムで販売するプリン『抹茶』『和紅茶アップル』のレシピを提案、提供いただいた。今回は柵山さんに、料理について、さまざまな活動について話を伺った。





振り返れば「食」があった

x
ドライフラワーや雑貨で飾られたアトリエ内。どこかホッとするような温かみのある空間。

今や「食」とは切っても切り離せない生活を送る柵山さんが、学校卒業後に就職したのは全くの異業種。将来のキャリアについて考える中で行きついたのは、自らの「好き」の再認識だったという。

「私って何が好きなんだろうって考えたら、『食べる』ことだなって。『どうやったらこの味になるのか?』作り方が気になるんですよね。幼い頃は、料理本やお菓子本のレシピを書き写すような子どもで。『私は料理が好き』だと原点に立ち返って、そこから食の仕事を求めて、栄養士の資格を取るため動き出しました。」

その後キユーピーで約4年、営業・企画を担当。そんな中で芽生えたのが家庭料理への思いだった。例えば市販のおかずの素を使えば料理は簡単だけれど、世の中の家庭料理にはもっと多種多様な味があってもいいのではないか。家庭の味を追求したい思いが縁を結び、東邦ガス料理教室でアシスタントを担うことになる。

「それまで知らなかった調味料や食材、新しい味に出会って。新鮮でとても楽しい経験でした。出産・育児で一時仕事から離れたものの、再びお声がけいただいて。三重では講師もさせていただきました。」

すべての物事が生かされ、形となり…

季節の食材をふんだんに使ったメニュー。料理教室では、日々の慌ただしさを忘れて皆が自然と笑顔に。(写真提供:季節ごはん教室niwacoya)

2013年、ママ友とのたわいもない会話から生まれた「季節ごはん教室niwacoya(ニワコヤ)」。告知からメニュー決めなど運営面から、アシスタント、講師まで、料理教室にまつわるすべてを一人でこなす柵山さん。これまでの歩みを見ていると、すべての経験がプラスとなり、まるで一本の糸でつながっているかのようだ。

「私自身、特に何か意図して積み上げてきたというわけではなくて。けれど、今となってみれば、これまでの経験が他の人にはない強み、提案力に繋がっているのかもしれません。」

当初は1回4人、月5回の延べ20人程度だったのが、今では1回6人、2ヶ月で延べ150人以上。多いときには週5回も料理教室を開催しているという。春夏秋冬の基本年4回にプラス、おせちなど単発レッスンが加わる。

「毎回継続してきてくださる方が多くて、中には10年近い方も。皆さん長く楽しんでくださっています。」

ニーズによって視点が変わる

ある交流会イベントにて。アトリエから庭に出て、参加者にハーブについて説明する柵山さん。

「料理」をキーワードに多方面で活躍する柵山さんだが、一口に料理といってもその都度求められるものは変わってくる。

「例えば料理教室であれば、素材を生かして簡単に作れるように、自宅で再現できるように。できるだけわかりやすく、引き算で考えていきます。一方でレシピ開発・提案の場合は、作り方よりも見栄えや美味しさが重要で。ほんのちょっと素材や量を変えたり、作り方を変えたり、細かな調整が必要になります。」

レシピを提案する際は、お相手の要望をヒアリングしたうえで、食材や食品、調理機器など、対象となるものの魅力が最大限に伝わるように心がける。そんな柵山さんがどの仕事よりも苦心しているのは、「レシピを生み出すこと」だというから驚きだ。

「出産と同じ、生みの苦しみです。でも、その先にあるお客様の喜ぶ姿が見られる、大きな達成感を得られるとわかっているからこそ、頑張りたいと力がみなぎる。迷い道に入ることもありますが、好きなことに没頭できてそれを仕事にできている、とてもありがたいことですね。」

ブレない思いが、すべての活動の軸にある

「ニワコヤLab」ガーデンデザイナー奥田由味子さんのワークショップで作った、ワイヤーを使った壁掛け一輪挿し。

料理教室以外の活動も活発な柵山さん。niwacoyaではアトリエに隣接する庭を使い、毎年5月に「chocomo(チョコモ)」というマルシェを開く。育休中にミシンにはまり、2009年にマルシェをはじめた当初は布雑貨を売っていた柵山さんだが、今ではもっぱら運営側だ。

「大切にしているのは、主婦の方が参加しやすいこと。なので平日に開催して、主婦の方が楽しめるような布雑貨やパン、お菓子などのお店が並びます。他には、出店者さん同士がうまくつながれる場になれば…という思いもありますね。」

他にも、アトリエでワークショップ「ニワコヤLab(ラボ)」を開催する。ガーデンデザイナーやアロマテラピー講師などを招いての講座開催。主婦の方にとって、日々の暮らしをより良いものに。そんな思いが形となり、人が集まる。

料理教室もマルシェもニワコヤラボも、その主役は「主婦」だ。柵山さんの思いは強く、決してブレない。

未知なるその先に、深まる探求心

実際に庭で摘み取ったハーブの数々。それぞれの個性豊かな香り・味わいを楽しむ。

柵山さんの1日は、その時間の多くが料理教室とその準備にあてられる。

「朝8時くらいから準備に入って10時から料理教室。片付けして終了するのは14時半か15時くらいですね。そこから明日の料理教室の買い出し、試作、撮影をすることも。試作をした時には、その試作品が晩御飯になります(笑)。そして洗い物をしながら気づけば夜…1日があっという間ですね。」

趣味は料理、毎朝の愛犬の散歩を楽しんでいるそうだ。読書では、料理本や教養本など。さまざまな価値観に触れ、自らの意識を研ぎ澄ませる。今後は、現状を整理して不要なものを断捨離し、次なるステップアップを図りたいという。

「料理を通じてもっと地元に貢献できることがあるのではないか。料理と何かを掛け合わせることで、今はない新しい価値観が生み出せるのではないか。私自身、料理だけで終わるのではなく、未知なるその先を探っていきたいです。」

(取材/ライティング:杉本友美)



鈴鹿山脈の伏流水で育った茶葉のうまみを味わう

抹茶

370円(税込)

お茶どころの鈴鹿でたっぷりの愛情を受けて育てられた茶葉を贅沢に使用した素材の美味しさが光るプリンです。抹茶風味のデザートにこれまで満足しなかった方に「おいしい!」と言っていただけるフレーバー作りを目指しました。鈴鹿抹茶の旨味をぜひご堪能下さい。

くわしく見る

キャラメリゼしたリンゴといただく、上品な和紅茶プリン

和紅茶アップル

400円(税込)

自然豊かな地で大切に育てられたべにふうき茶葉を使用した和紅茶のプリンです。甘くやわらかな風味の和紅茶プリンは、さっぱりとした味わいの中にも深みがあり、鼻に抜ける香りも豊かです。底には紅茶との相性が良いキャラメリゼしたリンゴを敷きました。バターの風味も手伝って、とてもリッチな味わいに仕上がりました。

くわしく見る