畑に広がる二人の笑顔~大河内ファームの飽くなきチャレンジ~

インタビュー

Share on

インタビュイー プロフィール

インタビュイー プロフィール

大河内ファーム 大河内 英二さん・聖子さん

元々は聖子さんの祖父の代から農家で、父母も後を継いで担っていた。10年ほど前に聖子さんの父が病気になったことをきっかけに英二さんが早期退職し、就農。現在は夫婦二人三脚で少量多品種の農作物を栽培している。

「農家になって、一段と野菜が好きになりましたね。皆さんに野菜を美味しく食べる方法をお伝えしたくて、料理の幅も広がりました。」

津市栗真町屋町(くりままちやちょう)で農家を営む、大河内ファーム。元々は聖子さんの祖父の代から続く農家で、これまで100年以上もの長きにわたり農作物を栽培してきた。英二さんの就農後に「大河内ファーム」の名を冠し、地域の方々に新鮮な地場の農作物をお届けしている。

プリンタイムでは、大河内ファームで育てられたトウモロコシを使った『かため×スイートコーン』を販売している。今回は、大河内ファームの大河内ご夫妻に、農業への想い、トウモロコシの特徴、今後の展望について話を伺った。





地域の土質を生かした野菜づくり

ハウスの中でのびのび育つトウモロコシ。取材に訪れた5月下旬は収穫真っ盛りだった。

海辺にほど近い、栗真町屋町にある畑。ほんのりと潮の風が鼻をかすめる。この地域、昔は今よりも畑がたくさんあって、農家も多かったのだそう。

「高齢化などで徐々に農業をする人が減っていってしまって、今では栗真町屋町で農家はうちを含めて4軒のみ。ここ近辺の畑は海に近くて砂地なので、主に砂地に適した野菜を栽培しています。」

たとえば5月の時期だときゅうり、トウモロコシ、アスパラガス、そら豆、モロッコいんげん、空心菜など。冬の時期にはきゅうり、かぶ、セロリ、大根、春菊などの葉物類。年間通して約40品目もの農作物を、二人で協力し合いながら育てている。

品種・栽培方法にこだわった大河内ファームのトウモロコシ

実がしっかりと詰まった、とれたてのドルチェドリーム。甘みたっぷり、自信作。

大河内ファームで育てられているトウモロコシは「ドルチェドリーム」という珍しい品種。5月中旬から6月上旬という約1か月弱の間に、約3,000本も出荷するのだとか。

「ジューシーで高糖度、まるでフルーツのような甘みが特徴です。粒皮もやわらかくて果汁が多く、なんと生でも食べることができるんですよ。」

例年2月くらいから種をまき、苗を育てて2月中にハウス内に植え付ける。寒さの厳しい時期だが、苗を寒さから守るため、土の温度が暖かくなるよう工夫を凝らしているのが大河内ファームの栽培のこだわりポイント。

「この他には、同じ畑にきゅうりばかり連作せず、トウモロコシと交互に栽培することで、土のバランスがよくなるようにしています。ひと工夫することで、両方の野菜がよく育つようになる、よい環境が整えられるんです。」

お客様の声が何よりの励みに

津市のお年寄りにも人気のモロッコいんげん。おすすめの食べ方は「酢味噌和え」。

大河内ファームでは、前日袋詰めした野菜を翌朝5時に配達。6時から収穫、袋詰めし、昼から夕方にかけては次期の野菜の準備やきゅうりの手入れなど、1日にやらなければならないことは盛りだくさんだ。

「うちの野菜は、地場産の農作物を取り扱う、津市内の道の駅やスーパーなどに出荷しています。実際に店頭に野菜を置かせていただく際、お客様から『美味しかったよ』と声をかけていただくのが何より嬉しいですね。農業をやっていてよかったな、と思う瞬間です。」

トウモロコシなどは、畑に直接買いに来てくれるリピーターさんもいるのだそう。健康第一で、地域の「食」を支える。

野菜を作り、情報を届ける役割を担う

一枚一枚、丁寧に書かれたポップの数々。それぞれの野菜への想いが込められている。

大河内ファームは、農家としてただ野菜を栽培しているだけではない。Instagramでは、実際に栽培した野菜の写真をはじめ、その野菜を使った料理などの写真も投稿。さまざまな角度から、野菜を知ってもらう工夫を凝らしている。

「出荷している野菜にはどんな特徴があるのか、調理法やおすすめレシピなどをポップにして店頭に置かせていただいています。『こんな風に食べるとおいしいんだ』と知ってもらえたら。」

津市近辺では「津産津消」を合言葉に、地場の食材に触れるきっかけづくりを推進している。大河内ファームも地域の皆さんに新鮮な農作物を提供すべく、津市を盛り立てる。

やってみてよかった、お百姓(百笑)さんの仕事

大河内ファームでは、春夏キュウリに加え、秋冬キュウリも栽培。自慢の一品だ。

畑で毎日一緒に作業するお二人は、取材中も笑顔が絶えないほがらかな雰囲気をまとっている。楽天的で社交的な聖子さんに、チャレンジ精神旺盛で真面目な一面も併せ持つ英二さん。聖子さんはこう語る。

「『農業・漁業・酪農の中で、やるとしたらどれがいい?』って聞いたことがあるんです。そしたら主人は『百姓(百笑)やな』って。『百』に『笑』うって。いいこと言うなって思ったんです(笑) 実は私は子どもの頃から近くで農業を見てきて、大変やなって思ってて。でも実際やることになったらのめり込んでいって。今では子どもたちも手伝ってくれて、周りにも野菜をすすめたいと言ってくれて、すごくいい環境でありがたいですね。」

ずっと同じじゃない、変化を求めてチャレンジは続く

新たな取り組みとして、仏花や墓花などに使える生花にもチャレンジしているそう。

就農して約10年。これからどんなことにチャレンジしたいのか、お二人に伺った。

(英二さん)「毎年一つは、これまで作ったことのない野菜にチャレンジしてみたいですね。人が作っていないような野菜をネットで調べては『これどうかな』って。みんなと同じでは面白くない。ちょっと時期をずらして育ててみたり、違う品種に変えてみたり。そんな風に、ちょっと変わったものを育てて、知っていただくきっかけになったらいいですね。」

(聖子さん)「野菜を育てていると、どうしても破棄するものが出てきてしまう。そんな野菜をうまく生かして、いつか総菜屋をやってみたいな…と思っています。今では高齢者をはじめ単身世帯も増えているので、新鮮な野菜を使った総菜があればお役に立てるんじゃないかと。」

大河内ご夫妻の思い描く未来を、太陽が明るく照らしている。

(取材/ライティング:杉本友美)



希少なスイートコーンの甘さを堪能する、期間限定フレーバー

かため×スイートコーン

410円(税込)

卵黄をたっぷり使ったかため食感のプリンに、三重県津市の大河内ファームさんが栽培している、希少品種のドルチェドリームを合わせています。一般的に販売されている国産のトウモロコシよりも糖度が非常に高く、果物のような甘さとフレッシュさを楽しめるフレーバーです。

くわしく見る