インタビュイー プロフィール
インタビュイー プロフィール
メキシコ食文化研究家・人類学者
ロシオ・カルバハルさん
インスタグラム
@rocio.carvajalc
メキシコ中部のプエブラ市在住。年間を通して、メキシコと英国で過ごすことが多い。メキシコ文化と美食の教育者として活躍中。Pass the Chipotle、Hungry booksというポッドキャストなど、いくつかのプロジェクトを立ち上げ、フードツアーや講演、研究プロジェクトに参加している。(記事内画像:ロシオさん提供)
私たちが愛してやまない世界的なフレーバーの数々から、毎回その歴史やローカルな人たちの声をインタビューするシリーズ。今回は私たちのフレーバー『メキシカンココナッツ』のルーツ、「メキシカンフラン」についてのカルチャーをのぞいてみましょう!
フランは、メキシコを含むラテンアメリカ諸国で古くから愛されてきたデザートです。フランの起源は古代ローマ帝国に遡ります。ローマ人がイベリア半島(現在のスペインとポルトガル)を征服し、そこで自身の料理文化と現地の食材が融合しました。この融合の中で、フランの原型となるデザートが生まれました。
フランはスペイン経由でメキシコに伝わり、メキシコの食文化に取り入れられました。メキシコでは、スペインの影響を受けつつも独自のアレンジが加えられ、メキシコらしいフランに形を変えたのです。
メキシコのフランは、その豊かな味わいと視覚的な美しさで人気を集めています。底面にあるカラメルソースの美しい色が、デザート全体を引き立てます。フランはしばしば他のフルーツやシロップ、クリームと組み合わせて提供され、バリエーション豊かなデザートとして楽しまれています。
メキシコ人はデザートが大好きで、一年中新鮮なフルーツを食べることができますが、ケーキ、アイスクリーム、ペストリー、そしてライスプディングや、もちろんメキシカンフランのような調理されたデザートも親しまれています。
メキシコのフランには興味深い歴史があります。15世紀のスペインによる征服以前、メキシコには牛がいなかったため、食生活に乳製品が導入されたことは大きな変化であり、サトウキビやその他の食材も伝統的な食文化に組み込まれるようになりました。
植民地時代にさかのぼると、フランのようなデザートには多くのバリエーションがあり、スペイン独自の文化史に関連する興味深い起源を持つものもあれば、ユダヤ人由来のものまであるのです。
外国人が 「Mexican Flan(メキシカンフラン) 」と呼ぶものを、私たちは 「Flan Napolitano(フラン・ナポリターノ )」と呼んでいます。だから、このデザートを私たちが他国の地域のフランとして呼ぶのはとても面白いですよね!
このフランは圧力鍋で調理され、キャラメルは濃厚で甘く味付けされています。フランは、大きなサイズ(ファミリーサイズ)で提供されたり、1ピースにカットされた一人分のサイズもあり、どちらもよく見かけます。
もう一つのバリエーションは、フランとチョコレートケーキを半分ずつ混ぜた 「impossible (インポッシブル)」というデザートで、「chocoflan(チョコフラン) 」と呼ばれているんですよ。こちらもとても美味しくておすすめです。
たいていの人は食後にちょっとしたデザートとして食べたり、午後のおやつとして食べたりしますね。特に子供たちは、冷えたフランをカットしたものはいつでも大歓迎のデザートです!
たいていのレストランでは、その日のメニューと一緒にデザートとして提供されています。スーパーマーケットやパン屋でも買うことができる日常的なデザートです。
子供の頃、レベッカおばあちゃんのフランをいつも楽しみにしていました。キャラメルの苦味とクリームチーズのような風味が特に好きでした。都心に住むメキシコ人の多くは、美味しいフランを食べて育ち、フランが大好きだと思います。
フランに似た食感のデザートはたくさんあります。
例えばライスプディングのような、クリーミーで甘く冷たいデザート。
タピオカプリンや、ヨーグルト・牛乳で作ったジェラートも人気があるし、オアハカ州の伝統的なフランに似たデザートで、トウモロコシを使った「Nicoatole(ニクアトール)」もあります。
そのような数あるデザートの中でもフランはメキシコ国民に愛されるおやつです。
「メキシカンフラン」を食べたことがない人は、風味豊かでクリーミーな舌触りに驚かされることでしょう!
370円(税込)
メキシコのデザート“フラン”をベースに作ったカスタードプリンです。南米っぽさを感じられるようにココナッツミルクと練乳入りで、いつものカスタードプリンとは一味違った味わいです。甘さ控えめですが、ココナッツミルクの甘い香りがおいしく、ココナッツ好きな人におすすめです。
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実家は茶業、産まれた頃からお茶は身近な存在だった。物心ついた時から自然と茶業のお手伝いをし、他社へ就職したのちも休みの日には茶畑仕事をサポート。2011年ころから本格的に茶業に参加。現在は茶業のほか、お茶摘み体験などの開催、自家製野菜の販売なども行う。
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ポルトガル、リスボン出身のアーティスト。イラストレーターとしてだけでなく、コミックやタイルワークの制作も手がける。これまでに、ポルトガルをはじめ、ブラジル、スイス、日本などで美術館やイベント、商業プロダクトなどのイラスト作成、雑誌や絵本の挿絵、自身のセラミックアートの制作など、その活動は多岐にわたる。現在、リスボン在住。(記事内画像:スサーナさん提供)