いちご栽培からカフェ経営まで~フラガリアファームが思い描く未来図~

インタビュー

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インタビュイー プロフィール

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フラガリアファーム 平松 香歩里さん

ご主人の実家は米を栽培する兼業農家。「やるなら自分の好きな作物を作りたい!」と美容師から転身、いちご農家の道を歩みはじめる。現在は約18アールの栽培面積で、ご主人と二人三脚でいちご「かおり野」を栽培する。2022年9月には自宅近くの古民家を改装し「Café FRAGARIA」をオープン。

「収穫どきのいちごは艶も良くて。本当にキラキラしているんですよ。」

かおり野を収穫する際の見極めは「ヘタの近くまで赤くなったら。」早どりすることなく、完熟したそのタイミングを見逃さない。

フラガリアファームは、経ヶ峰の風が吹き下ろす津市安濃町にある。いちごハウスの近くには美濃屋川が流れ、毎年5月下旬頃には蛍が飛び交うという。きれいな空気と水に恵まれた環境で、スクスクといちごが育つ。

プリンタイムでは、フラガリアファームのいちごを使用したプリンを販売している。今回は平松香歩里さんに、いちごについて、「Cafe FRAGARIA」について話を伺った。





フラガリアファームと「かおり野」

農業大学校に1年間通い、いちご栽培を学んだ平松さん。そこで知ったのが、「かおり野」だ。かおり野は三重県の農業研究所が品種改良した三重県生まれのいちご。病気に強く収穫量が多いことに加え、香り豊かで大ぶりな実、酸味が少なくジューシーな果肉と魅力たっぷりの品種だ。平松さんは迷いなくかおり野を選んだ。

2017年4月、新規就農1年目。国からの補助金を得てハウスの建設を進めながら、6月に育苗、9月に定植、11月に収穫スタートと、一気に駆け抜けた。

「雨の中カッパを着て作業して、驚くほど忙しかったですね(笑)。でも、農業って黙々と農作業するだけが仕事じゃないと思うんです。例えば補助金のための書類づくり。農大時代の先生や行政、JAなどを巻き込んで、きちんと自分の思いをアピールしないといけない。生産から販売まで自分でやらないといけない。外部に向けた動きが重要だなと思います。」

有機資材や虫の力を借りて、安心安全ないちご作り

フラガリアファームのいちごを使用したイチゴシロップ。6次産業化によって生まれた。

平松さんが栽培するいちごは、主に直売所、名古屋のオーガニックスーパー「旬楽膳」などで購入することができる。販路は、マルシェなど自らが顔を出した先で人とつながり、縁が生まれるのだそう。マルシェでは、いちごに加えて6次産業化してつくったイチゴシロップも販売している。

フラガリアファームでは有機資材や自然由来のものを使って栽培、主にご主人が土づくりを担う。取材にお邪魔した6月中旬は、ちょうど5月に収穫を終えた後片づけの頃。根を掘り起こして再び土づくりから、微生物を観察しつつ丁寧に作業を進める。

「菌、微生物によって、土をやわらかくふかふかにして分解したものを入れています。昨年から使い始めたのですが、味落ちしやすい3・4・5月も、美味しいいちごが実りました。これからも継続して土づくりを大切にしていきたいですね。」

ハダニ類の対策としては、ダニを食べるダニ「ミヤコカブリダニ」を放ち、虫の力を借りて防除しているそうだ。また、苗を高濃度の炭酸ガスに24時間つけ、虫や虫の卵を完全にゼロ状態にして定植するという。他県のいちご農家さんから教えてもらった方法で、三重県のいちご農家としては初導入なのだそう。

「炭酸ガス処理をすることで、翌年4月までハダニ類の消毒はほぼ不要。本来なら4日に1回程度消毒が必要なのですが、防除回数も大幅に削減。炭酸ガスには化学薬品が含まれていないので残留毒性の心配もなく、安心安全ないちご栽培につながっています。」

淡い思いが現実となって。「Cafe FRAGARIA」オープン

木の温かみが感じられるCafe FRAGARIAの店内。窓に目を向けると、田園風景が。

いちごなどを使ったスイーツ、ドリンク、ランチなどを提供している「Cafe FRAGARIA」。農繁期の11月~5月を除き、土・日・月曜の11時~17時まで営業している。平松さんは、水・木・金曜の昼間はクッキーやケーキなどのカフェの仕込み、夕方からはハウスでいちごの苗をとったり花を摘んだり作業に追われる。いちごの苗は、ランナーと呼ばれる茎につく新芽をポットに受けて根付かせることで、数を増やしていくのだ。

平松さんが農業と並行してカフェを始めたのには、こんな背景があった。

「実は独身時代、カフェで働いたことがあって。厨房でケーキやパスタなどを作っていたんですよ。それが楽しくて!けれど飲食も厳しい業界で難しいかな、と思っていたんです。それがいちご農家になって、『もしかしたらカフェできるかも』と想いが再燃して、やってみようって。」

平松さんはカフェのオープンに備え、京都にある製菓学校で1年間学び、製菓衛生士の資格を取得した。通信学習と京都での実習は決して楽な道のりではなかった。カフェでケーキなども売りたい、きちんと資格を取得してお客様に安心してもらいたい。そんな熱意が平松さんの背中を後押しした。

昨年はなんとクリスマスケーキを受注、24台を販売したという。いちご農家だからこそできる、二層にいちごが敷き詰められた、山盛りいちごの生クリームケーキ。

「他のどのケーキ屋さんより、いちごの数だけは勝てるかなって。」

お客様が美味しいと喜んでくれるのが、何より大きなやりがいだとほほ笑む。

着実に成長を続け、その先に見えるものは

白い布を染め、花びら1枚1枚から丁寧に手作りされた布花。商品化も検討中。

平松さんは過去に三重県のいちご共進会で、その年の全体2位にあたる「知事賞」を受賞。新規就農者としも着実に成長している実績を買われ、三重県の農村女性アドバイザーとして活動している。

また、JA津安芸の青年部会長として、研修内容などの企画、日程決めなども行う。会員さんがどんな勉強をしたいと思っているか、考えながら企画するのだという。

そんな平松さんの最近の趣味は「布花」。パーツに合わせて真っ白な布を染め、花びらの形など型に合わせて布を切り、一つひとつボンドで接着していくのだそう。布とワイヤーだけで作られた、味わいのある花。

「基本的にモノづくりが大好きで。これもいつか商品化したいなと思っているんですよ。」

今後の展望としては「Cafe FRAGARIA」を、いちご農家のカフェではなく一つのカフェとして皆さんに知ってもらいたいと話す。メニューも増やし、さらにパワーアップを検討中。周りから「行動が早いね」と言われる平松さん。まだまだこれから、その道は続いてゆく。

(取材/ライティング:杉本友美)



蛍が飛び交ういちご農園で育てられたいちご“かおり野”を満喫するプリン

いちごカスタード

400円(税込)

自然いっぱいの土地で大切に育てられたいちごをふんだんに使った季節限定フレーバーです。豊かな香りと甘みが特徴の品種“かおり野”を使用しています。上層から酸味を効かせたいちごソース、香り高いいちごのババロア、そして下層にはコクのあるカスタードプリンと3層仕立てです。

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