素材を活かした「美味しい」を求めて~デリッシュが目指す料理~

インタビュー

Share on

インタビュイー プロフィール

インタビュイー プロフィール

デリッシュ 代表 山本えいこさん

2012年ワンデイシェフへ参加したことから、食の道を歩みはじめる。2014年に「NPO マザーズエイドみえ(現在はマザーズエイド)」設立、主宰。現在はフリーの料理研究家として、料理提案やレシピ提供、商品開発などに携わる。

「料理って、やっぱりまず『美味しい』からはじまらないことには続かないし、受け入れてもらえないと思うんです。」

屋号である「デリッシュ」は「美味しい」という意味から名付けられた。料理はまず「美味しい」があって、その次に健康や美容などへとつながっていく…。そんな山本えいこさんの料理への熱い思いが込められている。

山本さんには、プリンタイムで販売するプリン『マイヤーレモンチーズ』 などのレシピを提供していただいた。今回は山本さんに、料理について、マザーズエイドについて、今後について話を伺った。





ワンデイシェフで体感した「料理を提供する喜び」

ワンデイシェフで提供したランチの一例。野菜をたっぷり使った彩り豊かな献立。
デザートのタルト込みで800円!(写真提供:デリッシュ)

山本さんを料理の道へとつないだ「ワンデイシェフ」は、将来的に店を持ちたい人や料理好きの主婦などがシェフ登録し、ランチを作ってお客様に提供するシステムだ。「料理」をキーワードに集まった人たちが、1日シェフとして自慢の腕を振るう。

山本さんは1カ月に2回程度で約半年間、家庭料理を主にしたワンプレートランチを提供したり、仲間のアシストに入った。お客様からの「美味しい」という声が届く中、「私も食の仕事をやってもいいのかな」と自信につながったという。

ワンデイシェフの期間が終わるころ、お客さまから「料理講師をやってもらえないか」との相談が。山本さんはワンデイシェフ仲間と一緒に、交代で講師を変えながらやらせてもらうのはどうかと提案した。

「そこで約1年、私は講師をしつつ運営を中心にやっていました。例えば「いのちのスープ」で知られる辰巳芳子さんのお弟子さんを講師に迎え、スープ講座と映画のセットで企画するとか。気づけば、食にまつわるイベントを企画する側に立っていました。」

地域の母親が地域を、母親を助ける。「マザーズエイド」の取り組み

パリッと整った調理用白衣を身にまとい、料理について熱く語る山本さん。

料理教室期間終了後、ワンデイシェフの仲間が知識を高められるような料理教室をやろうと「チーズ作り」をテーマに講座を企画、開催した。それが大盛況に終わり、「もしかしたら一般の人も、もっと学びたい人がいるんじゃないか」との思いから「NPO マザーズエイドみえ(現在はマザーズエイド)」を立ち上げる。

マザーズエイドは地域の母親が中心となり、あらゆる食に関して幅広い世代を支援しながら地域交流を図り、社会貢献を目指す。これまでに病院とのコラボによる料理講座、パン講座、子ども料理教室などさまざまな料理教室をプロデュースしてきた。

「私は主に司会進行役です。人をサポートすること、裏方役、まとめ役が好きなのは、前職の管理職の経験があるからかもしれません。実は人前で話すのは得意ではないんですけどね(笑)。」

2020年のコロナ禍を経てフリーの料理研究家に。「例えばこの食品なら、どんな料理が考えられますか?」と私が尋ねると、瞬時にぽんぽんといくつもの料理の名が挙がる。

「料理って、組み合わせによって1+1が2以上になる場合があって。例えば色彩、味、栄養価。これまでの経験や独学で学んだ知識をもとに、組み合わせがいいものを考えていますね。」

食材の色を活かし、レインボーフード(赤・黄・橙・緑・紫・黒・白)のうち最低でも4種類以上入れるように心がけているそうだ。こうすることで第6の栄養素「食物繊維」もしっかり摂取でき、腸内環境が整う。

見る人にとって「わかりやすい」レシピを考える

特産物「あおさのり」を使ったレシピなど、これまでに数多くのレシピを提案してきた。(写真提供:デリッシュ)

山本さんの外せない得意分野、「家庭料理」。レシピ開発ではまず打ち合わせの際にターゲットを尋ねるのだそう。

「例えば初心者向けであれば、作りやすさや時短をメインに考えます。冊子などに掲載される場合は見栄えも重視して。どんな方に向けたものなのかを必ず確認して、その方にとって『わかりやすい』レシピを考えます。」

山本さんの日常は、常に「料理」だ。依頼先から送られてきた素材を使っての試作では、研究・試作した料理が毎日の食事となり、おやつとなる。

「1週間くらい同じ素材を使った料理が続くこともあります(笑)。足りない食材があれば買いに走って、調べ物があれば図書館や本屋に走って…。主婦業をしながら、日々研究に没頭しています。」

食の仕事に携わる中で「食Pro.」という資格も取得した。食Pro.は国家戦略プロフェッショナル検定の一つで「食の6次産業化プロデューサー」のことだ。山本さんは三重県内でも数少ない、レベル3の「できる」まで取得。企業や農家さんなどと新商品を開発する際、企画から調整など、プロジェクトを管理・成功へとつなげるため、自ら学ぶ努力を怠らない。

見知らぬ土地で、食材探しの旅を楽しむ

豊頃にある「ハルニレの木」。幻想的なワンシーン。(写真提供:デリッシュ)


北海道の豊富な海の幸に、思わず目移りしてしまう。(写真提供:デリッシュ)

趣味といえば、まず「料理」なのだとか。趣味も仕事も真っ先に来るのが「料理」なのは、山本さんの心のなかにある「好き」が突き動かしているのだろう。そして温泉、旅行、食材探し、読書、映画などと続く。

「旅行に出かけた先で、地元のスーパーに行くのが楽しみですね。そこにしかない食材を見つけては買ってきて、サイトで調べたり調理したり。何と掛け合わせると美味しいかを試してみるんですよ。」

今後は、大好きな温泉地を巡って、その土地の食材を使って料理して食べてみたいのだとか。現在は、ご主人が定年後に自ら働く土地を選び、単身赴任中の北海道に年3回程度長期で出かけるという。

「今は三重と北海道の二拠点生活をお互い楽しんでいます。北海道に行ったら、主人の車で道の駅を巡って食材探しの旅。北海道にある道の駅、全部で127駅のうち約70駅は行きました。全制覇が目標なんですよ(笑)!」

取材から数週間後、北海道に旅行予定なのだと笑顔で教えてくれた。今回は旅先でどんな食材と出会うのだろうか。山本さんのよく通る笑い声が、遠くから聞こえてくるような気がする。

(取材/ライティング:杉本友美)



マイヤーレモンの爽やかさとチーズのコク、両方を楽しめるプリン

マイヤーレモンチーズ

400円(税込)

料理研究家 山本さんからレシピを提供していただき実現した、三重県産マイヤーレモンを余すことなく使用したプリンです。レモンムースを上層、レモンチーズプリンを下層にした2層仕立てです。ふわっとしたレモンムースが爽やかに香り、濃厚なクリームチーズのプリンがこっくりとろけます。

くわしく見る